友達になる
何をしたくて生きているのか
友達になる
何をしたくて生きているのか
就職活動を進めていく中で、「何をしたくて生きているんだろう」と自問する機会があった。数々のエントリーシートには、「あなたが将来成し遂げたいことは?」とか「世の中にどういう変化をもたらしたいか」などの設問が多い。社会に出るにあたっては「社会貢献」などの大きな社会に立ち向かうような立派な目標が求められていると感じてしまった。
だが、私が心からやりたいと思えることはそうではなかった。むしろ、私はただ他愛もないことで友達と笑い合う時間を過ごすことこそが自分の幸せなのだと気づいたのである。
落ち込んだ時、「もう何もかも放り投げてこの世界から消えたい」という思いが頭をよぎった時、私を励ましてくれたのはいつも友達だった。こうした友達とのくだらない時間は少なからず「明日も生きていこう」と思える原動力になっているのだと思う。 ある日、大学の研究会終わりに先輩や同期と飲みに行き、湘南台のバーで夜が明けるまで語りあったり、付いているカラオケでAKB48のヘビーローテーションを歌い、合いの手のところでマイクをみんなに向け、他の卓まで巻き込んで歌ったりしながら過ごしていたことがあった。そんな様子を面白がってくれた先輩に、「こういう飲み屋をフィールドにしたらありさちゃんにしかできない卒業プロジェクトができるんじゃない?」と言っていただいたのである。私自身、「あなたらしさ」といったものを就活においても求められる中で、この卒業プロジェクトは私らしさをある側面で切り取り、表現することができるのではないかとも思った。
家族と友達
友達について語るとき、私の中で切り離せないものは家族の存在である。
かつて母とケンカをして友達の家に家出したとき、母から「友達は親みたいに面倒見てくれないし、責任もとってくれないよ」と言われたことがあった。たしかに、家族は友達よりも強固な結びつきがあり、簡単には切り離すことができないため、お互いのことはお互いで面倒を見て、時には家族の責任を負わなければならない。
デボラ・チェンバースの『友情化する社会』によると、女性の社会進出や多様性、グローバル化、地理的流動性など様々な理由から、以前のような家族や地域コミュニティなどのつながりは希薄になってきているという。そんな個人主義が高まった現代社会での人々の社会的紐帯は、個人の選択によって築かれる「友達」がとって代わるという説があるのだそうだ。
そもそも「友達」の定義は曖昧
著者は、「『友達』の話になると途端に定義は曖昧になる」とも述べている。
辞書で引いてみても「互いに心を許し合って、対等に交わっている人」とか「いつも親しく交わっている人々」などと記載されており、なんだかやや抽象的である。互いに心を許し合えているかなんて、確かめようがない。相手の気持ちはいつまでたっても理解しきることはできないのだから。そう考えると、友達は非常に繊細で脆いものなのかもしれない。
卒業プロジェクトについて
私は大学の卒業プロジェクトにて、地元の飲み屋街(通称:地獄谷)を対象に、アルバイトという方法で参与観察の形からフィールドワークを行う。
地獄谷は、数年後には再開発が決まっている。私が最初にここを訪れたのも、母に食事に誘われた際、「再開発が決まってるため今のうちに行かないとなくなってしまうから」という理由からであった。

卒業プロジェクトを始め、初回のフィールドワークは、加藤先生と2人で訪れた。
バーで普段大学では話さないような他愛もない話をしたり、その隣のお客さんやマスターとも話したりしていた。そこでは制度的な役割を忘れ、ただ同じ店で同じ時間を過ごす仲間として皆が対等であった。思い返せば母と外で食事をするときも、親子という関係を忘れまるで友達のように接している感覚になる瞬間が多く存在していたように思う。
話している中で、マスター(うにやさん)に、突然「うちでバイトする?」と声を掛けていただいた。すぐに私は「はい!」と答え、2月の中旬からアルバイトをすることが決定したのである。
私の卒業プロジェクトでは、そんな、自分が何者であるかという肩書を脱いで人が素直に話すことのできる場を観察し、記録することによってこの場所を成果物としてアーカイブするものである。また、そのことによって、個人主義化した現代社会におけるつながりについて考え、「友達」を自身の言葉によって定義していきたい。
메타데이터
- post_id
- 7f3c33f9b079
- slug
- 友達になる-7f3c33f9b079
- url
- https://medium.com/walk-in-between/%E5%8F%8B%E9%81%94%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-7f3c33f9b079
- canonical_url
- https://medium.com/walk-in-between/%E5%8F%8B%E9%81%94%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-7f3c33f9b079
- author_url
- https://medium.com/@arisa-nishio
- status
- ok
- fetched_at
- 2026-06-14 17:09:17